GrindingHub 2024 視察レポート
GrindingHub 2024が、5月14日~17日にドイツのメッセ・シュトゥットガルトで開催された。本展示会は、VDW (Verein Deutscher Werkzeugmaschinenfabriken: ドイツ工作機械工業会、German Machine Tool Builders’ Association) が主催し、隔年で開催されるもので2022年に続き第2回目となる。展示会場はメッセの第7、8、9、10の4ホールで展示面積は合計で約46,100m2である。出展者は485社、その約53%がドイツ、47%がドイツ国外からで出展国は31ヵ国に及び、中国からは45社、日本からは5社(+欧州営業拠点から10社程度)が出展していた。来場者は11,100人以上で、来場者調査では約42%が海外75ヵ国から、約10%がアジアからであり、研削加工に特化した工作機械および関連機器の展示会として世界有数の見本市と言える。
本展示会では、平面・円筒・内面研削や工具研削などの各種研削盤、研削盤構成要素、クーラントろ過装置、制御装置などの研削盤周辺機器、ラッピングなどの研磨機械、アルミナや炭化ケイ素砥粒、超砥粒および研削砥石、各種センサー、モニタリング装置を含む計測測定機器、その他研削関連システム&ソフトウェアなど、幅広い分野にわたる展示が行われていた。大手企業ブースでは広い商談コーナーが設けられ、顧客との情報交換や商談が活発に行われていた。また、研究機関の展示やGrinding Forumでの企業技術説明会などが並行イベントとして開催された。
全体的な印象としては、研削盤にセンサーやロボットを組込み、ATC(Automatic Tool Changer)やAWC(Automatic Workpiece Changer)と合わせて総合的な研削システムとして展示している例が多く見られた。また、それぞれの企業が部品群に応じた最適な研削システムを提供する形で、さまざまな構成・構造の研削盤が紹介されていた。特に欧州が得意な工具研削盤では、さまざまな工具形状に合わせて最適な工具研削システムをデモンストレーションしていた。さらに、研削砥石関係の展示も多く、特に歯車研削用2ゾーン砥石やCFRPコア超砥粒ホイールの展示が随所に見られた。
総じて,展示の質や量とともに活性化度合いを肌で感じ、GrindingHubは文字通り、世界の研削技術業界をつなげるHubとしての役割を果たす主要な見本市であると感じた。主催者VDWは開催報告で、世界中の出展者と顧客のための完璧なプラットフォームとして今回のGrindingHubを総括している。
次回のGrindingHub 2026は、2026年5月5日~8日にメッセ・シュトゥットガルトで開催予定である。
(京都工芸繊維大学 名誉教授 太田稔)
(詳細は「GrindingHub 2024にみる研削技術動向」として、月刊「機械と工具8月号に掲載予定です」